誰がなんと言おうと『あなたは天才』
「私は勉強が苦手です」
「効率が悪いから人の3倍勉強しないと覚えられない」
あなたは一度でもこれらのことを言ったことがあるでしょうか。
あるとしたら、その言葉の根拠はなんでしょう。
「試験で満点を取ったことがないから」
「有名大学を卒業していないから」
そんな言い訳をするかもしれません。
私もかつて、そんな言葉ばかりを口にしていました。
どんなに勉強しても、平均くらいの点数しか取れないのだと思い込んでいました。
そんな私だからこそ言えることがあります。
「勉強ができない人の一番の原因は、自分が勉強できないと思い込むこと」です。
学歴も、年収も、その他ステータスも。
「記憶する」という行為においては全く意味をなさないのです。
もしかしたら本書を読んでいただいている方の中に、勉強が苦手だと感じている方がいるかもしれません。
勉強を避けて一生を過ごすことだってできるでしょう。
勉強に自信のないまま幸せに生きている人だって世の中にはたくさんいるでしょう。
それでも。
勉強が苦手なまま一生避け続けるよりは、勉強が得意だと胸を張って言える方が幾分か素敵な人生ではないでしょうか。
あなたが仮に勉強に自信がなかったとしても、
人生で一度くらい、本気で、全身全霊100%で自分自信を信じてみるべきなのです。
「自分は優秀だ」
「自分は天才だ」
「自分ならなんでもできる」
こう思うべきなのです。
断言します。
いわゆる暗記が得意かどうか、勉強ができるかどうか。
これらは生まれつき決まるものではありません。
いつからだって勉強ができるようになります。
しかも、ものすごく簡単に。
勉強は才能ではなく、テクニックです。
知っているか知らないか。
知る機会があったかなかったか。
たったそれだけの違いでしかありません。
本書を読み進めるにあたって、このことは忘れないでください。
そしてもう一つ。
「記憶する」という行為はあなたの人生でどれほど大切な行為であるのか。
そして、その行為を改善・強化することは、勉強やビジネスにおいて劇的な変化をもたらすということを。
繰り返します。
「勉強や記憶することは才能ではなく、ただテクニックを知っているか知らないかの違いしかないということ」
「記憶するという行為を改善・強化することがあなたの人生に劇的な変化をもたらすということ」
この2点を忘れずに読み進めていってください。
それでは、超ショートカット勉強法の記憶術編を見ていきましょう。
私が『2点』を取れたのはニーモニックエレメントのおかげだった
「先生、歴史の年号を覚えることに何の意味があるんですか」
「先生、この勉強って将来どんな役に立つんですか」
学生時代の私は、授業中にこのような質問ばかりして授業を邪魔する生意気な学生でした。
なぜ電卓を使用してはいけないのか。
なぜ現在は使われていない古文など読めるようになる必要があるのか。
なぜ子供は勉強をしなくてはいけないのか。
なぜなぜなぜ。「教えてください先生!」
きっと先生もうんざりしていたことでしょう。陰でなぜなぜ少年と呼ばれていたかもしれません。
勉強は嫌い。暗記も苦手。好きな教科は体育。嫌いな教科は暗記科目全て。
勉強って何の意味があるの?外で遊んだほうが面白いじゃん。
テストで満点とったらなにか良いことあるの?
英語?将来海外行かないから覚えなくていいでしょ。
このような学生はどこの学校にでも一人や二人はいるでしょう。皆さんもなんとなく私がどんな学生だったか想像がつくと思います。
でも、私を含め、そのような学生は 心のどこかではきっとこんな風に思っていたはずです。
「テストで満点取りたい。」
「勉強できるようになりたい。」
とはいえ、決して行動することなく、全く逆のことばかり口にし、授業中は寝て休み時間はバカ騒ぎする学生生活を送っていました。
今思えば、授業を真剣に受けなかったのも、試験前に真面目に勉強しなかったのも、
「自分は勉強が苦手だ」
という意識がどこかにあったからだと思います。
そしてもう一つ、
頑張って勉強しても良い結果が出せなかったときに、
「周りと比べて自分は劣っている」ことが明らかになってしまうのが怖かったからかもしれません。
もちろん他にも、
そもそも何から手を付けていいのかわからない。
何をすればテストの点が上がるのかもわからない。
教科書を読んでも次の日にはほとんど忘れてしまう。
このように、勉強を避ける理由は十分すぎるほどたくさんありました。
こんな私が「暗記という行為」に興味を持つきっかけとなったのが、「歴史年号100問クイズ」という、クイズという名のただの抜き打ちテストでした。
結果は100点満点のテストでなんと2点。
返却された答案用紙を眺め、心の中で「抜き打ちテストだから仕方ないよなぁ」と言い訳しながら、ふと疑問に思いました。
「なぜ2点なのか」
そう。
「なぜ2点も取ることができたのか」と。
歴史の授業は、なぜかおじいちゃん先生の声が子守歌のように聞こえるという病に侵されていたため、まともに起きていた記憶もほとんどなく、まして家で勉強するくらいなら半袖半ズボンで富士山にでも上ったほうがましだと考えていたくらいです。
答案用紙を見ると丸がついているのはこの二つでした。
「710」と「1192」。
そう。
かの有名な、「納豆ねばねば平城京」と「いい国つくろう鎌倉幕府」の二つです。
この時に初めて気づきました。
「そうだ。将来子供ができてどうしても泣き止まないときは、おじいちゃん先生の歴史の授業を受けさせよう」
- ・・ではなく。
「語呂合わせを用いれば簡単に満点とれるんじゃないか」
ということです。
そして、先生にも「なぜなぜ」ばかり質問し授業の邪魔をしていたことが功を奏し、ここでも「なぜ、語呂合わせを用いると記憶に残るのか」を考え始めました。
これが、落ちこぼれだった私の人生を、起死回生させた「記憶術」誕生のきっかけです。
その結果、人が物事を覚えるためには満たすべき「ニーモニックエレメント(記憶要素)」がいくつも存在し、語呂合わせはその「ニーモニックエレメント」の多くを内包しているテクニックなのだということがわかりました。
このことを知ったとき、
「ニーモニックエレメント」とそれを満たすテクニック、いわゆる「記憶術」を編み出したとき、
私の頭の中で離別の鐘の音が聞こえました。
「歴史年号100問クイズ2点野郎」というあだ名との離別の鐘の音が。
あなたも本書を読み終えたとき、離別の鐘の音が聞こえるかもしれません。
それが私のようにみじめなあだ名からの「離別」でないことを祈るばかりです。
さぁ、次からその「記憶術」をお伝えします。
え?
納豆ねばねばではなく、「なんと綺麗な平城京」でしょ!
鎌倉幕府は「いい箱作ろう」でしょ!
そのツッコミを待ってました。
机に向かってコツコツ勉強をすることも大切ですが、「口に出す」行為も簡単に記憶する為には有効です。
「五感をなるべく多く使用する」ことはニーモニックエレメントの一つですから。
わかりました。わかりました。ちゃんと記憶術の話に移ります。
あなたもそろそろ聞きたいと思っているころでしょう。
筆者の茶番劇との離別の鐘の音を・・・
まとめ①
- 勉強しても結果が出ないのは、周りと比べて劣っているのではなく、勉強の方法が誤っているから
- どんなに暗記が苦手な人でも、記憶する方法を工夫すれば簡単に暗記できる
- 人が物事を覚えるためには満たすべき「ニーモニックエレメント(記憶の要素)が存在する
- 「五感をなるべく多く使用する」ことはニーモニックエレメントのうちの一つである
あなたは後何回満月を見ることができますか?
早速ですが、あなたは記憶術をマスターしたらどんなことに生かしたいですか。
そもそも「記憶」とは、過去に経験したものごとを忘れずに覚えていることを言います。
つまり、記憶術をマスターすることで、過去に経験した物事を今よりも多く、重要なことを忘れずに覚えることができます。
「あれ、この人の名前なんだっけなぁ」
「この前資料読んだばかりなのに忘れてしまって出てこない」
「資格試験受けたけど、仕事が忙しくて平日あまり勉強できなかったから落ちてしまったなぁ」
当然、自分の名前を忘れられていい気のする人はいません。
会議中にクライアントに質問されてとっさに答えられず、「後日確認して連絡します」では徐々に信用を失ってしまいます。
そして、仕事が忙しいからという理由で勉強を避けていては、いつまで経っても試験に合格することはできません。
さらに、かつて、有名な雑誌でこんな言葉を見つけたことがあります。
「仕事のできない人は暗記のコツも知らない」
暗記することは、勉強だけでなくビジネスでもものすごく大切なことなのです。そして、記憶術を学ぶことでこれらの事態を回避することが可能です。
さらにもう一つメリットがあります。
それは、「自由な時間を手に入れることができる」ということです。
10代、20代の学生であれば、宿題や試験勉強を短時間で終わらせて、空いた時間をデートや遊び、読書等に充てることができます。
20代、30代、40代のサラリーマンであれば、記憶術をマスターすることで効率的に仕事や勉強をこなし、空いた時間を家族サービスや自己啓発の時間に充てることができます。
50代、60代、70代、80代であれば、趣味に没頭したり、新しく夢を見つけ、挑戦する時間に充てることができます。
私たちは、時間が無限にあると思いがちです。
「今度でいいや」、「明日でいいや」、「来年でいいや」
あなたもこのように、やらなければいけないことを後回しにした経験があると思います。
それは、明日でも来年でも、時間がほぼ無限にあると思っているからです。
「私たちの平均寿命は何年でしょう?」
と聞かれたらほとんどの人は80年くらいという回答を思い浮かべることができるでしょう。
それでは、
「平均寿命は何時間でしょう?」
そう聞かれて、ぱっと答えが思い浮かびますか?
人生80歳まで生きるとすると、与えられた時間はたったの70万時間しかありません。
あなたが40才ならのこり35万時間です。
この時間を多いと感じるか少ないと感じるかは人それぞれだと思います。
「人生は何事もなさぬにはあまりに長いが、何事かをなすにはあまりに短い」
昭和時代の小説家、中島敦さんの言葉です。
私たちが生きられる時間は、1日で24時間、1年で約8千6百時間、止まることなく減っていくのです。
あなたが無限に感じている人生は70万時間、つまり3万日しかありません。
あと何回満月を見ることができるでしょう。
今目の前にいる人に、あと何回会うことができるでしょう。
あと何回両親に会うことができるでしょう。
あと何回家族や友人に感謝の言葉を伝えることができるでしょう。
イギリスの随想作家であるウィリアム・ハズリットさんはこう述べています。
「私たちは年齢を重ねるにつれて、時間の価値をいっそう鋭く感じるようになる。実際、時間以外の者はまるで大したものではないように映じてくる。そしてこの点で、私達はいよいよ悲惨な人間になってくる」
時間の本当の大切さに気付くのは残された時間が短くなってから。
時間の大切さに気付いた時には、もう時間があまり残されていない。その時には悲惨な人間になっているということを述べています。
記憶術を学ぶということは、時間を大切にするということです。
時間を大切にするということは、自分の人生を大切にするということです。
大切な人を大切にする時間が増えるということです。
効率的に勉強するためにも、あなたの人生をより良いものにするためにも、記憶術を身に着けることはとても大切なことなのです。
忘れたくても忘れられない記憶術
さて、情報を詰め込みすぎて読了後に内容を何も覚えていないということが起こらないよう、今からニーモニックエレメントの中でも最重要な3つをご紹介します。
「記憶」について深く理解して頂くために、記憶のメカニズムや短期記憶・長期記憶等の話をしますが、既に知っている方や理論なんて興味がないという方は読み飛ばしてしまって構いません。
ただ、記憶する為に満たすべき要素である、最重要の3つのニーモニックエレメントだけは忘れないよう、意識して読み進めて頂けると幸甚です。
まずはものすごく簡単に記憶の仕組みの説明をします。
記憶のメカニズム
私たちが記憶する際、「物事を覚えているレベル」に応じて、大きく2つに分類することができます。
それが、短期記憶(海馬)と長期記憶(大脳)です。
短期記憶と長期記憶。これらの言葉は聞いたことのある方が多いと思います。
短期記憶と長期記憶、これらは記憶を保持することのできる時間により2つに分類されています。この短期記憶と長期記憶について説明していきます。
短期記憶
まず一つ目、短期記憶とは、短期的な記憶・すぐに忘れてしまう記憶のことを言います。
言い換えると、保持することのできる時間が短い記憶のことです。
そして、この短期記憶は人間の脳の「海馬」という部分に保持されています。「海馬」へ物事を覚えさせることは簡単にできますが、その分すぐに忘れてしまうのが特徴です。
長期記憶
次に二つ目、長期記憶とは、長期的な記憶、一度覚えたらなかなか忘れることのできない記憶のことを言います。
言い換えると、保持することのできる時間が長い記憶のことです。
そして、この長期記憶は人間の脳の「大脳」という部分に保持されています。「大脳」へ物事を覚えさせることは困難ですが、その分一度覚えさせるとなかなか忘れることのできない長期的な記憶となるのが特徴です。
これらの特徴をまとめると、
短期記憶とは、「海馬」に保持され、短時間しか保持することのできない記憶のことを言い、長期記憶とは、「大脳」に保持され、長時間保持することのできる記憶のことを言います。
それでは、なぜ人間の記憶は2段階に分かれているのでしょう。
当然、決して偶然何も理由がなく分かれているのではなく、生きていくうえで、メリットがあるために、短期記憶と長期記憶というものが存在します。
自分の脳の特徴を知ること。記憶のメカニズムを知ること。
これらは「記憶術」という観点を身に着けるため、勉強の効率を劇的に上昇させるうえで、あなたの最大の武器になります。
そのため、なぜこのような記憶のメカニズムとなっているのかを確認していきましょう。
もし、「海馬」が存在しなかったら・・・
もし、私たちの脳に「海馬」が存在しなかったら、私たちは物事を覚える際にはすべて「大脳」で記憶することになります。つまり、短期記憶など存在せず、すべて長期記憶となるということです。
一度見たものはなかなか忘れない。
授業を受けたら試験まで内容を覚えていることができる。
一度読んだ本の内容をすべて思い出すことができる。
これだけ聞くと、「悪くないんじゃないかなぁ」と思うでしょう。
一度見たものを忘れられないことは、確かに試験においては便利で都合の良いことかもしれません。
しかし、怖い体験や昔あった嫌な出来事などもすべて忘れることができないということです。
そもそも、見るもの・聞くもの、すべて忘れずに覚えていたら、脳の容量が足りずに頭の中がパンクしてしまうでしょう。
アメリカの作家であるエルバード・ハバードさんはこう述べています。
「よい記憶力は素晴らしいが、忘れる能力はいっそう偉大である」
また、中国の思想家である魯迅さんはこう述べています。
「いわゆる思い出というものは、人を悦ばせることもできるが、時にやはり人を寂しがらせるものだ。精神の意図を過ぎ去った寂寞の日々に繋げておいたとして、いったい何の意味があるだろう。逆に、それらをすべて忘れ去れないことが辛いのだ」
私たちは「忘れる」ことで脳がパンクすることを防ぐことができます。
仮に脳の記憶容量が無限でありパンクなどしないと仮定した場合においても、日常の見たもの聞いたものすべてを覚えていたら、重要な記憶を思い出したいときに思い出すことは難しくなってしまうでしょう。
人間は、物事を「忘れてしまう」のではなく、物事を「忘れることができる」という特徴を持っているのです。
「忘却」が重要なことであることを念頭に置いた上で、どのようにして覚えたいことのみを長期的に記憶させるのか。
これが、「記憶術」の役割であり、目的でもあるのです。
そして、超ショートカット勉強法の一つである、『起死回生の記憶術』は、覚えよう覚えようとして記憶するのではなく、忘れたくても忘れられなくする記憶術です。
記憶することは難しい?
たくさんの物事を暗記するには才能が必要?
いいえ、そんなことはありません。
記憶のメカニズムを知り、それに則して最適な記憶法を実践するだけで、誰でも簡単に、「忘れようとしても忘れられない記憶術」をマスターすることができるのです。
そのために知っておかなければいけない重要な知識の1つが短期記憶と長期記憶です。
人は物事を記憶する際、まず簡単に記憶することができる「海馬」で情報を記憶し、その中から重要だと感じたものだけを大脳に移します。
つまり、簡単にいうと、覚えたい情報をいかに「海馬」から「大脳」へと移すか、脳に重要な情報であると認識させるかが記憶のカギとなるのです。
そして、脳に重要な情報だと認識させるためには、満たすべき要素、ニーモニックエレメントが存在するのです。
ニーモニックエレメントがどのような役割であるか理解したところで、覚えたい情報をいかに「海馬」から「大脳」へと移すか、脳に重要な情報であると認識させるかについてお話していきましょう。
まとめ②
- 私たちに与えられた時間は無限ではなく、記憶術を学ぶということは自由な時間が増えるということ
- 短期記憶とは、「海馬」に保持され、短時間しか保持することのできない記憶のこと
- 長期記憶とは、「大脳」に保持され、長時間保持することのできる記憶のこと
- 「忘却」することができなければ脳はパンクする。人間が「忘却」することができるのは「海馬」のおかげである
- 覚えたい情報をいかに「海馬」から「大脳」へと移すか、脳に重要な情報であると認識させるかが記憶のカギであり、そのために満たすべき要素がニーモニックエレメントである
3つのニーモニックエレメントを用いた『シンプル暗記術』
最重要の3つのニーモニックエレメント
記憶のメカニズムを理解したところで、もう余分な知識は必要ありません。
重要なことだけを簡潔に、無駄なものを省いて書いていきます。
早速最重要の3つのニーモニックエレメントを紹介します。
最も記憶の根幹に作用する要素であり、これらの要素知り、勉強のときにちょっと意識するだけで効率が大幅にアップします。
「最重要の3つのニーモニックエレメント」
- 何回も何十回も何百回も繰り返すこと
- 五感をなるべく多く使用すること
- 感情の振り幅を大きくすること
以上3つです。
「記憶するうえで最重要の3つのニーモニックエレメントはなんでしょう?」
と自分に問いかけてみた際に、これら3つのニーモニックエレメントのどれか一つでも思い出せなくなったら、何度でも先ほどのページに戻って確認してください。
「何回も何十回も何百回も繰り返すこと」「五感をなるべく多く使用すること」「感情の振り幅を大きくすること」の3つです。
一つ一つ、なぜこれらの要素が重要であるのか確認していきましょう。
- 何回も何十回も何百回も繰り返すこと
まず記憶することに関して、大前提となるお話をさせてください。
あなたは、このようなことで自分は暗記が苦手なのではないかと落ち込んだりしたことはないでしょうか。
「一回解いた問題のはずなのに解き方を忘れてしまった」
「同じ英単語をいつも思い出せない」
「試験前日に勉強した範囲が出題されたのに全然解けなかった」
もし、このような理由で勉強に苦手意識を抱いているのだとしても、決して、あなたが勉強できないという証拠にはなりません。
一度教科書を読んだだけで、すべての内容を覚えることができる人なんていません。
そして、一度説いたことのある問題ならば、次は必ず解けるという人もいません。
試験で良い点数を取る人、あなたが、人は勉強ができるなぁと感じている人は、ただ、周りの人よりも何回も多く繰り返しているだけなのです。
そして東大生も同様です。
同じことを何回も何十回も何百回も繰り返すのが上手なだけなのです。
一回で覚えられなかったら、「そんなの覚えられなくて当たり前」という精神でもう一度チャレンジしましょう。
10回やっても覚えられなかったら11回目にチャレンジしましょう。
これは、その分何倍の時間も勉強したほうが良いと言っているのではなく、「
1周じっくり読んで1時間かかる参考書があるのならば、1周10分程度の適当さで6週しましょう」
ということです。
「長時間で一回の勉強で覚える」
「短時間で何度も繰り返し勉強して覚える」
この2つの覚え方のうち、勉強が得意な人は間違いなく後者の覚え方をしています。
そして、「何度も繰り返す」という行為は短期記憶と長期記憶にも深くかかわっています。
先ほど覚えたい情報をいかに「海馬」から「大脳」へと移すか、脳に重要な情報であると認識させるかが記憶のカギとなると言いました。
しかし、私たちの脳は、一度見たり聞いたりしただけでは、その情報が重要なものであると認識してくれません。
どんな情報でも、一度見ただけでは忘れてしまうのが当然のことです。
忘れたら、また覚えれば良いのです。
忘れて覚えてを何度も繰り返すうちに、私たちの脳は、
「この情報は重要だから忘れないようにしよう」と
「海馬」から「大脳」に情報を移動させるのです。
つまり、「短期記憶」から「長期記憶」に情報が移動します。
そしていつの間にか、忘れたくても忘れることができなくなってしまうのです。
「何回も繰り返すことで、情報を「短期記憶」から「長期記憶」に移すことができる」ということが分かったと思います。
しかし、「ただ何回も繰り返すとういう記憶術」では、私の人生を逆転させるほどの効力は持たなかったでしょう。
何回も繰り返すことは当然重要なことです。
ですが、もっと重要なことがあります。
それが、
「脳が重要だと認識しやすい繰り返し方」
をすることなのです。
当然、「できるだけ短い時間で記憶したい」と思っている方がほとんどでしょう。
ただ、何度も繰り返すのではなく、繰り返して簡単に記憶する為のコツ、「脳が重要だと認識しやすい繰り返し方」を紹介します。
海馬に情報を保持させるコツ
まずは、記憶したいことがあった場合、あなたが15秒~30秒その記憶を保持することができるか確認します。
都が平城京に遷ったのが710年であることがどうしても覚えられないとします。
そのためには、15~30秒の間だけ覚えていられるかのテストをしましょう。
まず、「平城京」・「710年」と見たら頭の中で15秒間数えます。
15秒後、「平城京」という文字を見ただけで「710」と思い出すことができればあなたの「平城京」・「710」という記憶の第一ステップはクリアです。
これは、脳のワーキングメモリ(作業記憶)が15~30秒しか保持することができないことを利用したテクニックです。
すぐに復習したほうが良いといっても、早すぎると脳のワーキングメモリの中で繰り返しているだけの可能性があります。
ワーキングメモリとは、短い時間頭の中で情報を保持するための機能です。
私たちは、電話番号を頭の中で覚えてからメモを取るまでの間等に、ワーキングメモリを使用しています。
また、「18×2の計算をするときに、2×8=16、で繰り上げの1と1×2=2の2を足して3、一の位は6だから答えは36だ」と暗算するときに、繰り上げの1という数字を頭の中でほんの少しの時間だけ覚えておく場合にも使用します。
15~30秒経った後でも思い出すことができる情報は、脳が少しは重要な情報であると認識してくれたということなので、すぐにまた「平城京」「710」と思い出しても記憶が強化される効果は薄いです。
何度も何十回も繰り返すとは言いましたが、2回繰り返して15~30秒覚えることができていたら、その情報をさらに何十回も繰り返すのではなく、他のまだ覚えていない情報を「海馬に」記憶させましょう。
その方がよほど効率的であり、時間を有効に使用することができるでしょう。
大脳に情報を保持させるコツ
「エビングハウスの忘却曲線」。これはかなり有名なのでご存知の方も多いと思います。
エビングハウスの忘却曲線とは、被験者に無意味な3つのアルファベットの羅列をたくさん覚えさせ、その記憶がどれくらいの時間で忘れるのかを測定した、ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスさんの有名な実験結果です。
この実験結果をまとめると、人の時間と忘却の関係は以下のようになります。
- 20分後には覚えたことの42%忘れる
- 1時間後には56%忘れる
- 1日後には66%忘れる
- 1週間後には75%忘れる
- 1か月後には79%忘れる
つまり、覚えた直後に半分近くは忘れてしまうのです。そして、残った記憶は長時間保持され、ゆっくりと忘れていきます。
しかし、この実験はいかに人の記憶が忘れやすいものかを示しているのではなく、復習に最適なタイミングも教えてくれています。
私たちの脳は、以下のような特徴があります。
「復習のタイミングが早すぎる場合」・・・
すでに知っている情報を再度インプットすることになります。この場合、私たちの脳は、「こんな情報すでに知っている」と情報をスルーしてしまうため、記憶の効果はあまり高くありません。
「復讐のタイミングが遅すぎる場合」・・・
ほとんど忘れてしまっている情報をインプットすることになります。この場合、知らない情報がほとんどで、たくさんの情報を覚えようとして結局あまり情報を覚えることができず、記憶の効果はあまり高くありません。
つまり、復習のタイミング、は早すぎても遅すぎても「効率の良い記憶」をすることはできないのです。
復習するのに最適なのは、遅すぎず早すぎず、ぎりぎり思い出すことができるくらいタイミングです。
「あぁ、そういえばこういうことだったなぁ」
というタイミングが、記憶を再確認することにつながり、より強く記憶を定着させることができるのです。
これらの情報を含めて、記憶するために最適な復習のタイミングをまとめると、
初めて学習したものを繰り返すタイミングは、
1回目・・・復習は50%くらい忘れている状態の20分後ごろ
2回目・・・2時間後
3回目・・・1日後
4回目・・・1週間後
となります。
初めの勉強と合わせて5回。
復習に最適なタイミングで5回繰り返すことで、復習のタイミングを意識しないで何十回も繰り返した場合よりも、記憶できる量も多く、記憶するのにかかる時間は大幅に短縮することができます。
ただ、何回も何十回も繰り返すのではなく、
脳が記憶するのに最適なタイミングを、少し意識するだけで復習することで、あなたが今までに感じたほどがないくらい簡単に物事を記憶することができるのです。
まとめ
- 最重要の3つのニーモニックエレメント
① 何回も何十回も何百回も繰り返すこと
② 五感をなるべく多く使用すること
③ 五感をなるべく多く使用すること - 一度ですべてを覚えることができる人はいない。覚えて、忘れてを何回も繰り返すことが記憶するということ
- 繰り返し方にも、「脳が重要だと認識しやすい繰り返し方」が存在する
- 復習するのに最適なのは、遅すぎず早すぎず、ぎりぎり思い出すことができるくらいタイミング
- 五感をなるべく多く使用すること
視覚
触覚
嗅覚
聴覚
味覚
勉強のときには視覚だけしか使わない人もたくさんいると思います。
しかし、東大生は、視覚しか使用しない勉強は絶対にしません。
「母の味」という言葉があるように、久しぶりに実家に帰ってご飯を食べると、懐かしく感じると思います。
また、「金木犀やおばあちゃんの家の匂い」など、何年たってもふとした拍子に思い出す匂いがあります。
また、何十年も前の歌の歌詞を、今でも覚えていることもあるでしょう。
視覚だけでなく、他の五感も使用することで、今までの何倍ものスピードで何倍もの量を記憶することができるようになるのです。
そもそも、トーマス・エジソンによって電球が発明されるより前の時代は、夜になったら何も見えない、つまり、視覚が使えない状態でした。
こんな状態ではいくら視力に自信があっても目に頼ることはできません。
耳や鼻が記憶に優れているのは、目が見えない状態でも危険を察知することができるようにするためであり、視覚と同等かそれ以上に、他の五感が記憶に優れているのは、人間が生存していくうえで必要なことだったのです。
私たちはせっかく五感を持っているのですから、視覚だけを使用して記憶するのは、あえて周りにハンデを背負っているのと同じ状態です。
それに加え、私たちは見たり聞いたりするだけではなく、実際に体験してみることで何倍も記憶しやすくなります。
サッカーのルールブックを読むよりも、実際に1回体験してみる方が、より多くの上達するコツを覚えることができます。
また、ピアノのおいても、楽譜とずっとにらめっこするよりも、何度も何度も実際に演奏してみることの方が、よほどピアノの上達への近道です。
つまり、人は見たり聞いたりするだけでなく体験するほうが、記憶が定着しやすいのです。
その理由の一つが、五感をより多く使用しているからです。
五感をなるべく多く使用することで、「記憶と経験を結びつける」ことができます。
また、目だけを使用して勉強しているのと比較すると、思い出すきっかけを5倍に増やすことができるのです。
あなたは今どんな環境にいますか?
「この椅子はなんだか硬くて座り心地が悪いなぁ」
「コーヒーのいい香りがするなぁ」
「好きな音楽が流れているなぁ」
など、勉強をしながら五感を働かせてみてください。
そうすることで、
「この問題はコーヒーの香りをかぎながら説いた問題だぞ」
「あ、座り心地悪かったけど頑張ってあの時勉強したところだ」
と、簡単に記憶を思い出しやすくすることができるのです。
あなたが視覚のみを使用して勉強するタイプだとしたら、
目で見て、
耳で聴いて、
鼻で嗅いで、
舌で味わい、
手で書くことで、
驚くほど簡単に記憶できるようになるでしょう。
この「五感をなるべく多く使用する」ことは、脳への情報量を格段に多くすることのできるもっとも簡単なテクニックです。
目で見ることの情報量が1であるとしたら、五感をすべて使用して勉強することで情報量は5になります。
紹介した2つのテクニック。
復習して何度も何度も脳に情報を送り込むテクニック。
また、五感を使用し、一度に脳へ送る情報量を増やすテクニック。
これらのテクニックは一つずつではなく同時に実践することで相乗効果を発揮します。
「幅が狭くて水量の少ない川」と「幅が広く水量の多い川」を想像してみてください。
幅が広くて水量が多いほうが、当然たくさん水を溜めることができます。
もし、あなたが前者の記憶法を行っているとしたら・・・
勉強しているときに、ほんの少し視覚以外の五感を意識するだけで、
驚くほど簡単に、あなたの記憶能力は開花するでしょう。
まとめ
- 視覚と同等かそれ以上に、他の五感は記憶に優れている
- 五感をすべて使用し勉強することで、思い出すきっかけを5倍に増やすことができる
- 「五感をなるべく多く使用する」ことは、脳への情報量を格段に多くすることのできるもっとも簡単なテクニックである
- 「文字を指でなぞる」「音読する」「筋トレしながら問題を解く」「食パンに数式を書いて食べる」等、五感を使用する方法は無数に存在する
- 感情の振り幅を大きくすること
「食欲がないのに食べても健康に悪いように、やる気がないのに勉強しても記憶力が損なわれ、記憶したことは保存されない」
かの有名なレオナルド ダ ヴィンチの言葉です。
覚える気がない状態で、いくら物事を覚えようとしても効率はものすごく低くなってしまいます。
私たちの記憶は、感情と深く結びついています。
楽しかったこと。
嬉しかったこと。
寂しかったこと。
怒ったこと。
わくわくしたこと。
昔の記憶を遡ってみてください。
今でも、鮮明に思い出すことができるのはどんな場面でしょうか。
学生時代に部活で仲間と最後に戦った試合。
志望校の合格発表。
遠足。
旅行。
卒業式。
あなたが覚えている昔の記憶は、必ず感情をともなった記憶のはずです。
人の脳は、情報と感情がセットであると簡単に記憶することができます。
そして、その振り幅が大きければ大きいほど簡単に記憶することが可能となるのです。
体験をともなう情報が記憶しやすいのも同様の理由です。
体験することで感情が動くために、記憶しやすくなります。
そして、五感をなるべく多く使用することも同様です。
五感をなるべく多く使用することで、ただ勉強するという作業になるのではなく、感情を伴った経験をすることが可能になるのです。
そのため、簡単に物事を記憶できるようになるのです。
感情と記憶の関係
そもそも、なぜ感情を動かすことで記憶しやすくなるのでしょうか。
これは海馬に情報を伝達する前に存在する門番、つまり「偏桃体」の影響によるものです。
「偏桃体」は、情報が伝達されてきた際に、その情報を海馬へと伝達させるかを決める門番の役割を果たしています。
つまり、物事を覚えられるかどうかは、海馬のゴールキーパーである「偏桃体」次第なのです。
いくら情報を海馬に送り込もうとしても、このゴールキーパーをどうにかしなければ効率よく物事を覚えることはできません。
効率よく記憶する為には、「偏桃体」が持つ、もう一つの役割を知る必要があります。
それが、「感情を支配する機能」です。
感情を支配する偏桃体は、感情を大きく動かすことで興奮します。
偏桃体が興奮することで、偏桃体のゴールキーパーとしての役割は弱くなります。
そして、海馬への門が開き、情報が伝達しやすくなるというメカニズムです。
つまり、「海馬の門番」と「感情を支配する」という2つの役割を持っている「偏桃体」の効果により、私たちは感情の伴った情報は記憶しやすいのです。
脳は感動なしの記憶が苦手
脳の働きについて専門的に研究されている、諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授の言葉です。
「脳は感動なしの記憶が苦手」
感動とは、感情が動くことを言います。
つまり、楽しいことでも、うれしいことでも、感情が動いたときに記憶しやすくなるのです。
記憶に残りやすい勉強法とは、感情が動く勉強法のことです。
世の中には、いくつもの勉強法や暗記法が出回っています。
あなたが、どの方法を選び、実践するのか。
「これが絶対に良い」ということはありません。
人それぞれ、その人に合う勉強法があります。
あなたが迷ったときにそれを判断する方法が、感情が動くかどうかなのです。
その勉強法を実践しているところを想像してわくわくするか。
つい、楽しくて夢中になってしまうか。
「教科書をゆっくり読んで理解しながら覚える」
「絵に描いて覚える」
「音読する」
「替え歌にして覚える」
「語呂合わせにして覚える」
勉強は本来遊びです。
試験のため。受験のため。
「やらされている」と感じることもあると思います。
そんな時こそ、「感情を動かす」ことを意識してみてください。
「今やってる勉強は、どう工夫したらわくわくするだろう」
「どんな勉強方法なら楽しくなるだろう」
章の初めにもお話ししましたが、
勉強が苦手なまま一生避け続けるよりは、勉強が得意だと胸を張って言える方が幾分か素敵な人生であると思います。
それと同様に、
「勉強はつまらない、嫌だ」と周りに愚痴をこぼす人より、「勉強は面白くてわくわくする」と笑顔で言える人の方が、魅力的ではないでしょうか。
かつて、「歴史年号100問クイズ」で2点だった私でも、勉強を楽しめるようになれたのです。
あなたになれないわけがありません。
「自分は優秀だ」
「自分は天才だ」
「自分ならなんでもできる」
このような自信をもって、
自分を信じて、
明日から、3つのニーモニックエレメントを意識した勉強を実践してみてください。
記憶したい物事があるときに、この3つの記憶要素をほんの少し意識するだけで誰でも、驚くほど簡単に、記憶することが可能なのです。
まとめ⑤
- 人の脳は、情報と感情がセットであると簡単に記憶することができる。また、その振り幅が大きければ大きいほど簡単に記憶することが可能となる
- 感情の伴う情報を記憶しやすいのは、「海馬の門番」と「感情を支配する」という2つの役割を持っている「偏桃体」の影響である
- あなたの感情が動く、楽しくてわくわくしてしまうちょっとした工夫が、あなたの記憶力を大幅に向上させる
- 勉強が楽しくて仕方がないと笑顔で言える人生を送ろう!